徒然種々
思いつくままに。
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拍手をどうもありがとうございます!
送っていただける一つ一つの拍手を、ありがたく頂戴しております!
元気の源!!
閑話休題。
以下の折り返しから、このサイトでリンクさせていただいている、「onion puls」のsaki 様の作成された北方水滸伝現パロの世界観をお借りしまして、ちょっと小話をUP、致しました!
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元気の源!!
閑話休題。
以下の折り返しから、このサイトでリンクさせていただいている、「onion puls」のsaki 様の作成された北方水滸伝現パロの世界観をお借りしまして、ちょっと小話をUP、致しました!
生意気な、と言われているらしいのは、知っていた。
しかし呉用としては、同じ高校一年の身で生意気も何もあるものかと思っていたし、寮規にしろ校則にしろ、ルールは守るためにあるのだと信じていた。
だから、寮に禁止されているゲーム機を持ち込んだり、学校の教室内でコミック雑誌を読みながらスナック菓子を食べていたり、早くも制服を着崩していたり。それぐらいなら自身で注意して終わりにするが、煙草の煙を立てている姿を見つけたときは、迷わず生活指導の教師に報告する。
厳しく叱責された同級生たちから余計な告げ口をと睨まれても、自分の行動は間違っていないと、呉用は固く信じ続けている。
―――こんな、事態になっても。
「だいたい、生意気なんだよ」
「他人のお情けで、入学させてもらってる身分でよぉ!」
聞き覚えのある、幾人分かの嗤い声。
足音が響いて、ローファーの硬い靴先が横腹に触れる。
「……っ」
身動きもままならないまま、呉用は身を竦めた。ガムテープで塞がれた視界は闇に包まれ、然程でもないはずの暴力が酷く怖ろしく感じられる。
それでも、おとなしく泣いてなどやるまいと、必死に歯を喰いしばった。―――たとえ泣き喚いたところで、眼と同じくガムテープを貼られ、塞がれた口からはろくに声など漏れなかっただろうが。
「貧乏人が来るトコじゃねえだろ、この学校」
「来ちまったんなら、せめて空気読んでおとなしくしてろっての」
「なあ? ―――金を出さずに来させてもらってるんだから、それに相応しく俺らの靴磨きでもしてりゃいいんだよ」
「貧乏臭さで俺らの体面汚してる自分、自覚しやがれ!」
また、脇腹を蹴られる。
今度は、少し強く。
「…っ」
呉用はまた、くちを噛みしめた。
今度は恐怖よりも、烈しく込み上げる悔しさで。
―――お前たちのお情けで、学資を賄っている訳じゃない!
この宋大附属は確かに他の公立よりも学資が高く、そのため生徒は所謂“良家の子息”がほとんどだ。
成績が良くて奨学金が貰える、寮の費用も出してもらえるから、公立に行くより此処に来た方が却って安上がり……という理由で宋大附属を選んだ呉用は、周囲に満ちる裕福な生徒達と比べて、はっきり言って異質な存在ではある。
しかし、だからといって蔑まれる謂れはない。不正をした訳ではなく、きちんとした正規の手続きを経て呉用はこの学校で学んでいるのだから。
だいたい、平均以上の優遇措置を取り、経済的にゆとりのある家の育ちではないながら、成績優秀な生徒――呉用のような――を集めているのは、裕福な“良家”の馬鹿息子たちが多額の寄付金と引き換えに無試験で入学し、その後繰り広げるろくでもない行動のカムフラージュという側面もある。
―――体面を汚しているのは、私ではなくお前たちの方だろう!
くちが利けたら、言ってやりたかった。
……こんな目に遭わされてもまだそんなことを考えている頑固さが、此処まで彼らに憎まれてしまった原因かな、と呉用自身、思わないでもないのだが。
「…………」
西陽のいっぱいに射し込む倉庫は、暑かった。
日頃使わない寮の備品が詰め込まれている小さなコンクリート製の建物で、寮のすぐ傍にある。
予備の食器やシーツ、大掃除用の掃除用具などが天井まで届く棚に積み上げられていて、そこそこ広いはずの倉庫内を狭苦しい景色に変えている。
五、六人も入れば満杯になる倉庫内は今まさに満杯のようで、呉用は床に転がされたまま、息苦しさを感じていた。
毛布で蓑虫のように包まれた身体が、熱い。
汗の雫が頸すじを滑っていくのが分かる―――しかし、段々と頭がぼうっとしてくる。
喉が、渇いた。
両手が自由なら、掻き毟っていたかもしれない。
どうせこれから、動けない身体を散々蹴られたり殴られたりするのだろうが、もうやるならさっさとやってくれと、呉用はあまり強がりでもなく考える。
「…………」
水が、飲みたい―――
「呉用――ッ!!」
そのとき、声がした。
しかし呉用としては、同じ高校一年の身で生意気も何もあるものかと思っていたし、寮規にしろ校則にしろ、ルールは守るためにあるのだと信じていた。
だから、寮に禁止されているゲーム機を持ち込んだり、学校の教室内でコミック雑誌を読みながらスナック菓子を食べていたり、早くも制服を着崩していたり。それぐらいなら自身で注意して終わりにするが、煙草の煙を立てている姿を見つけたときは、迷わず生活指導の教師に報告する。
厳しく叱責された同級生たちから余計な告げ口をと睨まれても、自分の行動は間違っていないと、呉用は固く信じ続けている。
―――こんな、事態になっても。
「だいたい、生意気なんだよ」
「他人のお情けで、入学させてもらってる身分でよぉ!」
聞き覚えのある、幾人分かの嗤い声。
足音が響いて、ローファーの硬い靴先が横腹に触れる。
「……っ」
身動きもままならないまま、呉用は身を竦めた。ガムテープで塞がれた視界は闇に包まれ、然程でもないはずの暴力が酷く怖ろしく感じられる。
それでも、おとなしく泣いてなどやるまいと、必死に歯を喰いしばった。―――たとえ泣き喚いたところで、眼と同じくガムテープを貼られ、塞がれた口からはろくに声など漏れなかっただろうが。
「貧乏人が来るトコじゃねえだろ、この学校」
「来ちまったんなら、せめて空気読んでおとなしくしてろっての」
「なあ? ―――金を出さずに来させてもらってるんだから、それに相応しく俺らの靴磨きでもしてりゃいいんだよ」
「貧乏臭さで俺らの体面汚してる自分、自覚しやがれ!」
また、脇腹を蹴られる。
今度は、少し強く。
「…っ」
呉用はまた、くちを噛みしめた。
今度は恐怖よりも、烈しく込み上げる悔しさで。
―――お前たちのお情けで、学資を賄っている訳じゃない!
この宋大附属は確かに他の公立よりも学資が高く、そのため生徒は所謂“良家の子息”がほとんどだ。
成績が良くて奨学金が貰える、寮の費用も出してもらえるから、公立に行くより此処に来た方が却って安上がり……という理由で宋大附属を選んだ呉用は、周囲に満ちる裕福な生徒達と比べて、はっきり言って異質な存在ではある。
しかし、だからといって蔑まれる謂れはない。不正をした訳ではなく、きちんとした正規の手続きを経て呉用はこの学校で学んでいるのだから。
だいたい、平均以上の優遇措置を取り、経済的にゆとりのある家の育ちではないながら、成績優秀な生徒――呉用のような――を集めているのは、裕福な“良家”の馬鹿息子たちが多額の寄付金と引き換えに無試験で入学し、その後繰り広げるろくでもない行動のカムフラージュという側面もある。
―――体面を汚しているのは、私ではなくお前たちの方だろう!
くちが利けたら、言ってやりたかった。
……こんな目に遭わされてもまだそんなことを考えている頑固さが、此処まで彼らに憎まれてしまった原因かな、と呉用自身、思わないでもないのだが。
「…………」
西陽のいっぱいに射し込む倉庫は、暑かった。
日頃使わない寮の備品が詰め込まれている小さなコンクリート製の建物で、寮のすぐ傍にある。
予備の食器やシーツ、大掃除用の掃除用具などが天井まで届く棚に積み上げられていて、そこそこ広いはずの倉庫内を狭苦しい景色に変えている。
五、六人も入れば満杯になる倉庫内は今まさに満杯のようで、呉用は床に転がされたまま、息苦しさを感じていた。
毛布で蓑虫のように包まれた身体が、熱い。
汗の雫が頸すじを滑っていくのが分かる―――しかし、段々と頭がぼうっとしてくる。
喉が、渇いた。
両手が自由なら、掻き毟っていたかもしれない。
どうせこれから、動けない身体を散々蹴られたり殴られたりするのだろうが、もうやるならさっさとやってくれと、呉用はあまり強がりでもなく考える。
「…………」
水が、飲みたい―――
「呉用――ッ!!」
そのとき、声がした。
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