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徒然種々
思いつくままに。

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つづきー。

 女人童貫さまの、話の続きです!
 
 
 
 えと、その!
 拍手を送ってくださった方、どうも有り難うございます!!
 
 

 
 
 ―――やっぱり、女なんだなぁ… 
 
 
 そんな風に、彼はある意味ちょっと感動していた。
 何となくホッとしていた、と言ってもいいかもしれない。
 
「やっぱり女なんだよなぁー、あの童貫さんもさ…」 
 
 史進の眼からみて、彼女―――童貫は、とても女とは思えないくらい異性臭のしない女だった。まるで、腕のいい職人の拵えた上出来の人形のような―――、まあ、非常に綺麗なことは綺麗だとは思うのだが。まるっきり女らしくない。 
 危急の際、時おり黒曜の眸に奔る眼光は凄烈な気に満ちて、白皙の貌は思わず息を呑むほどに美しくなる。しかし、それは“軍人”としての美、もしくは白刃の煌めきが示す“武具”としての美なのである。
 
 ……何か色々できすぎな感じもするし、やや堅くて何となく付き合いづらい面もあるが、童貫は史進にとっては敬意を以って対すべき同輩の一人である。妙な処でさばけ過ぎていたり逆に生真面目過ぎたりするところもあるので、面白く感じるときもある。
 
 だから、嫌いな訳ではない。しかし、“女”とはとても思えない。
 その意味で、ちょっと気味の悪いような気もしないではなかった。
 
 
 ―――それが、彼はこの時初めて、童貫に女を感じた。
 
 
 史進も、梁山泊において、童貫が晁蓋と関係を持っていると一部で噂されているのは知っていた。
 事実かどうか気にしたことなど一切なかったが、―――あぁ、事実(ほんとう)だったのか、と。
 この時そう思ったのだ。
  
 愛しい男が、他の女と共に笑っている。 
 それに傷ついて、でも気後れして近づくことさえ出来ない。
 
 史進は物陰から晁蓋らを眺める童貫の孤影をそう捉えて―――軍人としては一歩も、誰にも引かない童貫が、女性としては時折…妙に卑屈というか、後に引き気味のところがある(らしいとか、言われている。史進には良く分からないのだが…)のも知っていたから、余計にそう感じた―――、ゆえにこそ、晁蓋と童貫の情人関係というのが事実だったのだと彼は考えた。
 そして、童貫を“女らしい”と感じた。
 
「気にすること、ないだろ」
 
 だからこそ、何となく心なごみつつそう呟いていた。
 誰が隣にいようと、恋しい相手の傍に行きたいなら行けばいいのだ。
 情人としての、それが立派な権利ではないか、と。
 
「いいじゃないか、好きなものは好きで」
 
 直接、本人にそう言ってやろうと思った。
 どん、と背を叩いて励ますことは―――また、吹っ飛ばしてしまいそうで怖いので、出来ないが。
 
 
 権利とか、資格とか立場とか、そんなものは関係ないのだ。
 好きなものは好きだから好き。
 
 それで、いいのだと――――
 
 
 
 
 
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