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徒然種々
思いつくままに。

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その2。


 クリスマス更新、その2です。
 ……といっても、他人の何とやらで相撲をとる、という感じなのですが(汗。
 
 えと、このサイトからリンクさせていただいている、「空色翼猫」の火狼紗麻様の、現パロ設定。借用させて、いただきます。
 折り返し以下で、楊家の四郎くんのクリスマス、です。
 
 
 
 
 
 さく、さく、さく、と。
 凍えた雪を踏む、音がする。
 
「………?」
 
 四郎は、眠気でくっついた瞼を開けた。
 ほわほわと体があったかくて、片耳にとっくとっくと、元気なあったかい音が響いている。そして冷たい外気に触れるもう片方から、さく、さく、さく……。
 
「もうすぐ、着くからな」
「っ!?」
 
 何だろう、とぼんやり思ったところで声がして、四郎はびっくりした。体が、びくりと固まった。
 
「良く寝ていたな」
 
 そんな彼の情態も知らぬげに、優しいあったかい声が続く。
 兄の……四郎の義理の兄の、延平の声。
 
「あ……」
「休哥を、待っているつもりだったのか?」
「っ!」
 
 兄の背に負ぶわれて、兄のコートの中に一緒に包んでもらいながら、いつの間にか家路を辿っている。
 四郎は、ぎゅっと息を詰めた。
 
 
 学校の、図工の時間。
 聖夜を間近に控えた前回の授業で、“家族へのクリスマスプレゼント”というテーマで、似顔絵を描かされた。四郎はその時、現在の“家族”の絵ではなく、兄の同僚の、耶律休哥の絵を描いたのだ。
 
 ―――四郎は昔、今の家…楊家に引き取られる以前、両親をいっぺんに失くした火災現場で、休哥に危ない命を救われている。それ以来、四郎は彼こそが本当の自分の“父親”だと決めているから。
 
 白いクレヨンを使って、灰色のクレヨンで縁取って、髪を描いて。
 赤色と茶色を混ぜて、鋭く勁い眼を描いた。 
 
 その絵を、今日の終業式後の教室で「お家の人にあげましょうね」と返してもらったので、帰宅後、彼は家に伝言を置いて、休哥の住むアパートへ向かったのだ。絵を、“父親”に渡したいと思ったから。……アパートの部屋はきっちりと鍵がしまって火の気もなく、休哥は留守のようだったから、前の階段に腰を下ろして、その帰宅を待っていた。
 
 ―――四郎はそんな自分が、楊家の家族に対して後ろめたかった。
 
 火事の後、身寄りの無い四郎を引き取って、縁も所縁も無いのにきちんと養育してくれている人たちなのに、四郎は“家族”として、一番に休哥を描いてしまうから。
 
 
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