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徒然種々
思いつくままに。

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ちと、早め。

 普段に比べるとちと(?)早めですが、クリスマスの小話、ラストです。
 設定は、「空色翼猫」の紗麻様からお借りしたものです。
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 楊家の家族に、遅くなって心配をかけたことをきちんと謝罪して。
 四郎が席について、賑やかに聖夜の晩餐会が始まる。
 
 ―――やがて、玄関のチャイムが鳴った。
 
 四郎は、どきっとした。
 
「お、来たみたいだ」
 
 言って、延平が立ち上がる。
 
「四郎、おいで」
「………」
 
 延平に携帯で呼び出された休哥が、着いたらしい。
 四郎はどきどきしながら、玄関に向かった。
 
「やあ、メリークリスマス、休哥」
「あぁ…」
「―――って、おまえ、何個ケーキ買ってきたんだ!?」
「どれがいいのか、俺には良く分からん」
「どれでもいいんだって。一緒に食べるのが愉しいんだから」
 
 一個、二個、……四個も積み上げられたケーキ箱を、苦笑しながら延平が受け取る。
 
「まあ、ありがと。うちの家族なら、明日の昼までには平らげちまうだろう。それより……四郎」
「…っ」
 
 呼ばれて、改めてびくびくっとする。
 四郎を、休哥の琥珀の眸がまっすぐに見詰めてきた。
 
「あ、あの……」
「おまえ、休哥の渡したいものがあるんだろう?」
「…………」
 
 背中を押すような、延平の台詞。
 四郎は、手の中で握り締めて、ちょっと皺になった画用紙を、思い切って休哥へ渡した。―――せっかく来てくれた休哥に、こんな下らないものを贈っていいのだろうかと躊躇いながら。
 
「……クリスマスの、お祝い、に…」
 
 無言で画用紙を受けとって、中を開いて。
 
「…………」
 
 休哥は何とも言えない貌つきになった。
 四郎は戦々恐々としていたが……でもその貌は、決して迷惑そうではない。どうしてこんなもののために、と怒った貌でもなかった。
 
「………」
 
 何とも形容しがたい、不思議な表情を見せながら。
 休哥は、受け取った絵を綺麗に巻きなおして手元に収めた。それから、コートのポケットを探って、取り出したものを無造作に四郎に渡す。
 
 
 ―――金の翼をした、天使のオーナメント。
 
 
 思わず、眼を瞠って相手の白い貌を見上げる。
 四郎の髪を、休哥の手がくしゃりと掻き混ぜるように撫ぜた。そのまま、彼は楊家のほかの人々の待つ室内へと入っていく。
 
 
 ……Merry Christmas.
 
 
 ささやくような声が、聞こえた気がした。
 
 
 
 ※ 休哥、ちょっと照れています。 
 ※ 彼が四郎に渡した天使。飲んでいたバーのオーナーから、「お子さんのいる家に行くのなら、どうぞ」と。
 ※ ツリーに飾ってあったのを、ひとつ外してもらってきたものです!
 
 

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