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徒然種々
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すばる11月号感想の、2。

 
 感想の、続きです。
 やっぱりネタバレですので、隠します。

 

 禁軍の、童貫元帥がいなくなってしまいました。
 これから、生き残った人たちの思い出の中に出てくると思いますが、他の死亡キャラだち同様、それも次第に遠くなっていくのでしょう。
 楊令伝、評判どおり10巻完結ならもうそろそろクライマックス、仕方がないことだとは思いますが。
  
 
 もういないんだ、と思うと………。
 
 
 童貫元帥は、気づいていたのでしょうかしらね。
 最後に、言ってあげたかったような気がします。
 
 呼延凌や花飛麟、秦容、父親を受け継いでいる“息子”の存在を眼にして、宦官である自分に虚しさを感じておられたようですが。
 貴方自身、岳飛のなかに受け継がれているのですよ、と。
 
 血の繋がりが全てではなくて。宦官でも、次へと継いでいくものは確かにあるのだと思います。楊令だって、楊志と血は繋がっていないですが、でも彼は確かに楊志の“息子”なのですから。
 
 そして、貴方から何かを受け取っているのは、“息子”だけではないのですよ、ということも、伝えたいような気がします。
 
 宋江が、梁山泊の人たちのなかに残ったように。貴方に残された禁軍の人たちが、貴方のことをどれだけ思っているのか。貴方がどれだけ愛されていて、どれだけ多くの人に多くのものを与えていたのか。
 
 楊令を今の楊令にしたのだって貴方です、と云いたい。
 楊令は楊志の“息子”で、梁山泊によって育てられた男ですが、でも貴方がいなければ楊令は絶対今の楊令にはなれなかった。 
 岳飛が貴方の“息子”であったように、楊令もある意味では……ある面においては岳飛よりも更に多く、貴方から受け取っているのです。
 
 そんなことを、伝えてあげたかったです。
 岳飛を育てたのは自分ではないと言い切り、楊令を楊志の息子と断言し、他の多くの息子たちをちょっと淋しげに見つめながらも―――それでも、自分の残すものについて、気づいておられたのかもしれないとは思いますが。
 
 
 残された人は、辛いですね。
 残された禁軍の人たちの反応で、童貫元帥がどれだけ慕われていたのか、改めて思い知らされました。皆、元帥のことが大好きで、元帥が絶対だったんだ、と。
 退役するのは知っていた、でも、死んでしまうなんて、本当に二度と会えなくなるなんて、誰も考えていなかった。軍人であること、=童貫元帥の下で戦うこと、だったようですね。自分の親が死ぬことなんて、頭では当然起こり得ることと分かっていても心で理解しない、子どもみたいでした。
 
 嬉しいような、気もします。
 残された人たちが、気の毒だとも思いますが。童貫の死がここまで重大な死であってくれたことが、嬉しい。
 
 ……畢勝、幸せだったのかもしれませんね。童貫を最後まで守れず、あの酷い戦の最中に置いていかなくてはならなかったのは辛かったでしょうが、でも童貫の死に直面せずに済んで。
 
 逆に侯蒙は辛いでしょう、きっと。異様に見えるくらい老い屈まった身で、全力で童貫を戦わせるべく自らも戦い続けていて……その全身全霊をかけた思いの相手が、先にいなくなってしまったのですから。辛いだろうと思います。
 ……童貫元帥は戦って果てたのだと、決して決して不幸ではなかったのだと、彼ならば分かっているのかもしれませんが。
 

 
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