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女性版童貫さまの、連載しとります話の続きを!
えと、拍手、どうも有り難うございます―!
仲良く寄り添い、微笑み交わしている。
晁蓋と扈三娘。
―――似合いの一対じゃのう、と。
満足そうに頷きながら、韓滔は去って行った。
何時か夫婦(めおと)として軍の先頭に並ぶのというもよいではないか、などとも彼は語っていた。
そんな彼の言に対して曖昧に相槌を打ちながら、
「………」
―――しかし童貫はその実、梁山泊本塞にいる軍師のことを考えていた。梁山泊頭領ではなく、一人の男としての晁蓋を、一人の女として慕う男装の軍師…呉用のことを。
考えたとたん、
つき…っ
少し、胸が痛むのを感じて、
「……っ」
童貫は瞼を半ば閉ざし、胸元を軽く掌で押さえた。
指先が、幽かに震える。戦場で負う傷ほどの、痛みはなかった。ただ、切ない。
呉用がいるのに…、と。
そう思ってしまう。
思いながら、しかし童貫は、晁蓋はこの梁山泊の頭領―――宋でいう帝のようなものなのだから、千人とは言わぬまでも、幾人か関係を持つ相手がいても変ではないのかもしれぬ、とも思った。
だいたい呉用自身、晁蓋の妻たろうなどとは考えもしない様子なのだ。
寝所を共にすることもしばしばなのに、男女の関係はあくまで二義的なもの、一義は同志……梁山泊頂点に立つ頭領と、それを補佐する幹部という関係なのだと無言のまま主張している。一人の女としてまぎれもなく晁蓋を慕いながら、しかし所詮それは瑣末な想いでしかないと、決め込んでしまっているようなのだ。
だったら、呉用は……晁蓋が扈三娘と夫婦になって、戦闘部隊の先頭を二人で駆けることになっても構わない……の、だろうか?
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