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徒然種々
思いつくままに。

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小話。


 「onion plus」のsaki 様から、設定をお借りしました。
 現代パロの、童貫元帥らのものでした。

 
「…ッ、」
 
 姿勢が高くなって、童貫の双眸には彼方で立ち尽くす対戦者の姿が映った。 
 面鉄を外したその面立ちは予想以上に幼げだったが、その少年の面影濃い容貌を、彼は蒼白にしてしまっている。自分の行為の結果に、蒼褪めているようだった。
 
 おまえのせいじゃない、と。
 
 言ってやりたかったが、声が出ない。
 呼吸が出来ない。畢勝に抱え起こされ、仰け反る童貫の喉から溢れるのは、酸素を烈しく欲する喘鳴ばかり。苦痛に、身をよじった。
 
(酸素、吸入器を…!)
 
 取ってくれ、とも言えない。
 これはスポーツの大会だから、じきに気付いた人間が用意してくれるだろうが……それまでに、どれだけの時間がかかるのか。 
 畢勝は、突き技を受けて苦しむ童貫の様子に、慌てて防具を外し怪我の具合を確かめようとしている。
 
 そうではない、と伝えることは。
 しかし、出来なくて……
 
(……ッ)
 
 そのまま、童貫の気絶する寸前。
 唇を冷たい紫に変え、烈しく喘ぐ童貫の口許に透明なマスクが宛がわれる。
 流れこんでくる、新鮮な酸素。
 
(………あ、)
 
 滲み出す涙の膜で霞んだ視界に、かつての先輩の姿があった。
 今は―――梁山泊高校の、剣道部外部顧問をやっているはず。中学時代、宋大附属高校中学の合同練習で、今より更にもっと体力の無かった童貫が、幾度も面倒を見てもらっていた人物だ。
 
(……王、…し………)
 
 
 ―――急速に、呼吸が楽になってくる。
 
 
(……………)
 
 童貫は、ホッとして眼を閉じた。
 そのまま肢体から力が抜けて、彼は抱き起こす畢勝の胸に頭部を預けるようにして気を失った。
 
 
 
 
 ※ saki 様の現パロ設定では、童貫様、ご幼少時は身体が弱く、そのせいで実母から見捨てられた経験がおありです。
 
 ※ 具体的な病というより、全般的に虚弱という感じで。―――此処では、気管支か……神経、もしくは心臓も弱くて、ときどき喘息の発作を起こしていたことになっていますが。
 
 ※ ちなみに王進センセは元々は宋大附属の出身で、高校時代、中学生童貫様の憧れの先輩だったとのことです。
 
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