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あの、このサイトからリンクさせていただいている、「たんぽぽと未完成道化師のうた。」のSSA研究会の方が、設定された「女体化禁軍」のネタに則って、話を書いてみました。突発です。
………正直、童貫元帥の女体化は、考えていませんでした!
色々、キャラを女体化させるのは好きなのですが、どうも、童貫元帥だけは……。もしも仮に女体化してしまうなら、小柄で、胸は扁平で、肩や手足、腰にも脂肪がのっていなくて、ぎりぎりに細くて肉づきが薄くて……。女性としての魅力に乏しいその姿、つまり、普通に宦官の童貫元帥だな、と(苦笑。
未だに、元帥の女体化姿は想像できないのですが!
でも、他の某サイト様が設定されていたボディバランス等をお借りして、ちょっと書いてみました! 元帥のボディバランスとか、「おお!?」と予想外な感じで凄く面白かったり、思わず噴き出してしまうキャラがいたりで、素敵なのです! それで、書いてみたくて!
……本当に、「……だから何?」と書いている本人まで思ってしまう話ではあるのですが……。
色とりどりに着飾った人々の笑いさんざめく、パーティー会場。
立食形式の会場には飲み物を持ったウェイター・ウェイトレスも多数いて、様々なカクテルをサーブしてくれる。
「…………」
キール・ロワイヤルを受け取り飲み干した畢勝は、最後にシャンパンの味の滲みたベリーをくちのなかで味わっていた。眉間に、やや不機嫌そうな縦皺が寄っている。
それを見て、声をかけたそうにしている男性陣も遠慮して近づかないでいたのだが。
不意にそんな場の空気を乱して、
「…っ!」
むにゅ、と。
重く生々しい感触が畢勝の背に押し付けられる。
「豊美……」
思わず、畢勝は吐息しながら首だけ振り向いた。
「何を、暗い貌をしている?」
背後でシャンパン片手に笑っているのは、やはり同僚の豊美だった。
たっぷりとした豊麗な胸、存分な量感を備えて形良く張り詰めた尻、ほっそりと細く引き締まった胴……いわゆるダイナマイトボディを、ホールター・ネックラインのエンパイアドレスに包み、これでもかと言わんばかりに強調している。肌の透けて見えそうなくらい薄い生地の――それでも、決して透けることはない――袖くちから覗く、白い腕……。
女同士でも、この胸の感触はなんとも魅力的だな、と。
思いながら、
「…放せ」
畢勝は眉を顰めて、豊美の腕を外した。
そういう畢勝は、シースシルエットのシンプルなドレスを着ていた。胸元に、ドレスと共布で作った花のコサージュを一つ。決して派手ではないが、肢体の線がくっきり現れるので、着るには勇気のいるドレスだ。―――畢勝には、実に良く似合っている。
「んんー、相変わらず、美人」
「相変わらずも何も、ついさっきまで執務室で一緒だったろうが」
ふざけるな放せ、と畢勝は主張するが。
まあいいだろう、と豊美はのらくらとかわしてへばりつく。
「こんなパーティーの夜くらい、遊んでもかまわないだろう? ほら、あっちも見てみろ」
「…………」
豊美の視線の先には、最近力を見せ始めている若手、岳飛の姿が見えた。
童貫の元に加わったばかりの岳飛は、キュロットスーツを着ていた。臀は小ぶりできりりとラインが締まり、手足はすっきりと長い。その特長を大いに活かしたスーツは岳飛に良く似合っていたが、半年前に仕立てさせたばかりだというのに胸元辺りがやや窮屈そうだった。
「成長期ということですか。羨ましい」
隣で微笑んでいるのは、古参の趙安だ。
スーツの折り先をきゅっと押し上げる若さ溢れる胸の大きさを横目に、一見至極穏やかな表情……なのだが、その幽かにひそめられた眉根に半ば本気の羨望が薄っすら滲み出る。
「1カップは、確実に大きくなっているでしょ?」
そういう趙安はクリノリンスタイルのドレスを着て、たっぷりとギャザーを重ねたスカートの裾から時おり刺繍された靴先を覗かせている。造花やリボンをふんだんに用いたふんわりと甘い服の雰囲気は、色が白く童顔の趙安にしっくりと嵌まっていた。
レースの襟から伸びる頸すじはすんなりと細く、逆にその胸元はうって変わって華やかな脹らみを湛えている。―――別に岳飛を羨む必要など無さそうに見えるのだが、実は趙安の場合、胸の脹らみは詰め物による水増し分がほとんどなのだ。自前は……外見の、三割程度か。吟味した服のデザインのお蔭で、不自然さはほとんどないのだが。
「ええ。―――でも、胸なんてそんなに要らないですよ。だって、重いじゃないですか」
苦しいし、と。
デザインの作為を見抜く炯眼はまだなく、女性心理への洞察力にも未だ乏しい岳飛は当然のことながら、先輩の内心の葛藤にはまるで気付かず、素直に若々しい……というか、無頓着な感想を述べて共感を求める。成長真っ最中の張りのある胸を、忌々しげに掴みながら。
ほとんど化粧もしていない小麦色の頬が、シャンデリアの照明に瑞々しい。
「…………」
ほんの一瞬、微笑む趙安の双眸に殺意が走った。
「……ええ、そうでしょうねぇ」
「ほ、本当に!」
慌てて取り繕ったのは、若い岳飛の姉代わりを自認する劉光世だった。
灰色の地に白糸で刺繍を施した、地味でおとなしいドレスを着ている。しかし、そのひっそりと控えめなデザインと……劉光世のグレープフルーツでも忍ばせたような巨大な胸の大きさが、巧く調和していなかった。隠すように肩を包むショールさえ跳ね除ける生き生きとした胸が、趙安のそれより却って異様に造り物めいて周囲に映る。
そんな自分の姿をくちにした台詞によって改めて思い出し、
「本当に邪魔、ですよ、ね……」
深々と、吐息してしまう。
劉光世の姿に、今度は趙安の方が少々大人気なかった振る舞いを反省し、慌てて励まそうとする。
「……?」
二人の“大人”の微妙な雰囲気が理解できない“お子様”は、素直に頸を傾げて―――そして、向けた視線の先にあった熱々のミートパイに一瞬にして心奪われ、ふらふらとそちらへ歩いていくのだった。
三人の姿を見るともなく、彼方から眺めて。
「…………」
「何をやっているのだか……」
豊美はしつこく畢勝にもたれかかりながらくつくつと喉を鳴らし、畢勝はその手を払いながら溜息をついた。
「まあ、いいじゃないか」
空いたグラスを、ちょうど通りかかった給仕の持っていたワイングラスと取替え、豊美は眼を細めている。
「どうせこんなパーティー、会長のご機嫌を取り結ぶ取り巻き連と、その取り巻きにくっついていたい馬鹿な輩共以外、することなんてないんだ」
「だから、せいぜい酒と料理を楽しんでおけ……と確かに事前に通達している訳だがな」
いったんは認めつつも、すぐに畢勝は憤懣を眼に浮かべる。
「しかし、童貫様が大変なときに!」
「そんな、……別に大変とも限らない…、と、思いたいところだが」
豊美も、急に歯切れが悪くなった。………何となく、流れる髪も勢いを失ってしまったかのように見える。
「大変に、決まっているだろう!」
「……だろうなぁ…」
全くあの○○○が、と豊美はいかにも疎ましげに呟く。
臆面もなくベビードールルックのドレスを着込み、彼方で下品な嗤い声をあげている高毬の背を、坐った眼で睨んだ。
「「…………」」
二人の認める、この世で唯一の上司。
童貫は、今はこのパーティー会場にいない。何時もかっちりとしたクラシックスーツで押し通していた童貫は今夜、あの高毬の余計な差し出口のせいで、仕立てのイブニングドレスを着せられているのだった。
まるで未成熟な少女のような、背の低さ。
無味無臭の蒸留水を思わせる、峻烈なまでの清潔感。
強靭な發条(バネ)を潜めた手足から、真っ直ぐな睫毛から覗く眼差しの奥にまで、静かに滾り立つ雄々しい霊気(オーラ)。
―――逆に。
十二分に肉の厚みをのせた、胸元。
腰は思い切って括れて細く、逆にヒップには艶やかな張りが漲る。
至極メリハリが利いて成熟しきったボディラインと、堂々たる大人の貫禄、端正そのものの容貌。
何処か、アンバランスな印象があった。それは下手をすると“不健康な色香”に直結しかねず、だから面倒を厭う童貫は常に極力胸を潰し堅いスーツを着て過ごしていたのだ。
―――下手な恰好をすると、痴漢とストーカーのオンパレードになる。
童貫の仕事にかける意気込みを表すようなスーツ姿は、そんな頭の悪い虫たちを追い払う確かな力があった。
それなのに……
畢勝が、既に何度目かもしれぬ溜息をついたとき。
ようやく、会場入口附近の空気が動いた。―――童貫の、到着である。
濃厚な黄金色の、ずっしりと重い絹地を使ったイブニングドレスだった。
ワインド・アップ。
それは一見すると、酷く地味に見えた。生地は本物の黄金のように、光を受けない場合はむしろ暗鬱に曇った色彩を見せるし、そしてデザインはほとんど機能的なまでに飾りの少ない、シンプルものだ。左袖がほとんどなく、綺麗に筋肉のついた腕を肩近くまで無造作に見せているのが唯一の大胆さ。
しかし、やはり本物の金と同じく、このドレスはある光の角度においてはぎらりと金属の耀きを放つ。張りきった胸やヒップ、逆にほっそりと締まった腰のラインが、その黄金の明暗によって時にどんな飾りよりも豪奢にその身を引き立てる。
際だって小柄な肢体のサイズと、成熟し切ったボディラインとの不均衡を見事にこなしきっていた。
「「とても、お綺麗です…!」」
気がつくと、畢勝と豊美は声をそろえていた。
「…………」
童貫は嬉しいのか疎ましいのかまるで分からぬ、複雑な表情で―――それでも、騒ぐ部下達に向かって以前と同じく、ほんの少し口の端を緩めて見せていた。
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