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徒然種々
思いつくままに。

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お手製弁当。

 手作りのお弁当。
 秋の紅葉狩りへ赴くのに、それぞれがお弁当を製作するとき。 
 
 
1、張遼の場合。
 
 現代パロの場合、張遼はパティシエ。そして夏侯惇が、有名料理店のチーフシェフですから。二人で出かけるときは、自然と夏侯惇が料理担当、張遼がデザート担当ですね!
 
 夏侯惇、皮のパリっとしたパンを用意して。
 それに、チーズやハムの塊も用意して、野菜も切って、材料を持って屋外へ。あと、昨夜の残りのフォアグラや玉葱なんかを全部刻んで、スペイン風にどっしりと焼いた玉子焼きなんかも。
 
 で、現場についてお昼になったら、即席の竈をこしらえて、チーズを炙ったりして、熱々の具を挟んだサンドイッチを作って張遼と食べます!
 のんびりと二人で、ワインなんか回し飲みしながら!
 
 食後にはもちろん、張遼お手製のデザートです!
 カボチャとマロンのパイ。生地を二つ折りにして、戸外で食べやすくした形のもの。それから……夏侯惇の使った即製竈を使って、林檎を焼きます。
 
 
 
2、童貫元帥の場合
 
 きゅっと小さく結んだおむすび。
 海苔を巻いた梅干むすび。鮭の解し身を混ぜて、上に胡麻を振ったおむすびと、青紫蘇の塩漬けを刻んで混ぜたおむすびと、三種類。
 ふんわりした黄色い玉子焼き。早い時期なら名残のレタスや胡瓜を使ってミニサラダ、プチトマト入り。晩秋なら綺麗に刻んだ根菜の煮物。えのきのベーコン巻に、魚の照り焼き。シシトウ肉詰め。カニ爪フライ。
 
 彩り美しく形も整ったおかずが、あれこれこまごまと詰めてある。
 所謂、料理本のお手本写真そのままといった感じのお弁当。カラフルで、美味しそう。実際の味も、とびっきりの美味という訳ではないけれど、まあ家庭料理の範囲で普通においしい。
 
 料理好きの女の子が、初デートで気合入れて作ったような……
 
 でも、そんな感想を冗談にもくちにしようものなら。くちにしないまでも、初々しい女の子ぐらいしかこんな手の込んだお弁当作らないよ、という事実をうっかり本人に意識させてしまおうものなら。
 
 絶・対・に!!
 二・度・と!! 
 
 同じお弁当は作ってもらえません。次回から、大ぶりの塩むすび二個。―――三角形の角がつんと綺麗に尖っている辺り、無造作になり切れない風情が覗いている感じで。
 
 畢勝や豊美、侯蒙殿辺りは、慣れているのでうっかりミスは犯しませんが。
 袁明や岳飛なんか、悪意なく(袁明は感心して無意識に、岳飛は誉めるつもりで)「女の子の作ったお弁当」みたいだと言ってしまいそうです。お弁当を作ってもらえない高毬も、機会さえあれば―――こちらは確信犯で、地雷を踏み抜くことでしょう。
 
 で、次回からは全員分、塩むすび二個(笑
 
 
 
3、耶律休哥の場合
 
 
 ほしにく。
 
 
 ……では、あんまりですので。
 鶏の丸焼き。一応日持ちするように、芯まで火を通して、ちょっと煙で燻してあります。
 
 絞めて毟って捌いて焼いて。
 全部、休哥自身がやります。
 
 
 
4、呼延賛の場合。
 
 楊業のために、頑張ってお弁当を作ります!
 
 おにぎりは、「ああ、にぎったんだな」と分かる程度のまとまり方で、半ば爆発気味。
 綺麗に巻いた玉子焼きを作ろうと思ったのだけれど上手く巻けなくて、結局スクランブルに。ちょっと焦げました。ついでに、ちょっぴり殻も混ざってしまったり。
 ワカメと胡瓜と葱の……味噌、和え? きちんと切れていないので、箸でつまむと繋がってきます。
 煮物はちょーっと汁気が多すぎた感じで、一緒に入れた果物にまでたっぷりと煮汁が沁み込んで。
 フライは。フライは、…フライは…………。
 
 …………。
 
 楊業、さすがにちょっと、せめて休哥の弁当の方を食べたいなあと思います。
 でも、十本の指を絆創膏だらけにして、おまけに失敗した自覚ありでしょげている呼延賛を見ると、とってもそんなこと云えなくて。 
 くちをじゃりじゃりさせながら、殻入りスクランブルエッグを食べます。
 
(ちなみに、休哥の作ったお弁当は石幻果がいただきます。石幻果、自分でしっかりおにぎりやその他のちょっとした蔬菜を用意してきていて、休哥と一緒にそれらを賞味します。食後には、瓊峨姫様の持たせてくれた果物(丸のまま)の皮を剥き、綺麗に切ってデザートに)
 
(一方、遼の方では、簫太后様が憮然とした貌をしています。そんな彼女御自らが包丁を振るって作った誰かさん宛ての弁当を、冷や汗だらだらの耶律斜軫たち―――休哥代理の麻哩阿吉も含めて―――が食べています。もちろん、味なんて分かりません)
 
 
 
5、呼延灼の場合。
 
 ウインナーと塩鮭、玉子焼き。
 典型的“おいしいものばっかり”なお弁当です。―――おにぎりは無理に握らず、白いご飯を普通にお弁当箱に詰めました。 
 玉子焼きもウインナーも、ちょっと焦げて狐色だけれど、逆に却ってそれが香ばしいです。
 
 得意げにお弁当を差し出す呼延灼の手には、でも、幾つか火傷や、包丁でつけた小さな切り傷が。
 本当にささやかな傷なので呼延灼自身は全然気にしないのだけれど、関勝、黙ってまずはお弁当ではなく、呼延灼の手の傷にくちをつけますよ。軽く吸って、消毒!
 
 ―――見ないふりする、韓滔&彭己と宣賛夫妻。
 
 
 
 
6、公孫勝と、呉用の場合。
 
 不器用な自覚ありの呉用。
 でも、前もって練習しておけばお弁当くらい何とかなるはずだ、という根拠無き確信のままに、十日前から試作品を作り始めるのですが。
 
 頑張るのですが。
 
 …………。
 
 当日、夜明け。
 自己嫌悪の底に沈んでいる呉用の肩を、背後からとんとんと、公孫勝が叩きます。
 そして振り向いた呉用の前に、優しく差し出されるコンビニ袋!
 
 ―――と、いう訳で。
 
 紅葉狩り。
 晁蓋殿は全然気付かなくて。おお、綺麗な弁当! 呉用、お前料理が上手くなったなって、御機嫌です!
 
 薄く切られた玉子焼き。着色料入り蒲鉾と、ツワブキ。
 ショッキング・ピンクの柴漬けに、真白く漂白された蓮根。
 衣ばっかり立派なエビフライ。トンカツ。
 
 ………器は、ちゃんと漆塗りの弁当箱になっているのですが。
 
 居た堪れない様子の呉用。
 そ知らぬ素振りの公孫勝。
 
 林冲、“公孫勝の手製”なるところの弁当片手に毒づきかけるのですが―――彼は、張藍さんで本物のお手製弁当を知ってますからね!―――、晁蓋と同じく“呉用の手製”弁当を受け取った宋江が黙って眼で止めるので、黙っています。
 
 それでも一応、晁蓋と宋江のお弁当は五百円の幕の内なのですよ!
 林冲は二百九十八円の海苔弁だけど!
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