[426] [425] [424] [423] [422] [421] [419] [417] [416] [415] [414]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
拍手、いただけると元気になります! ……元気になってだからどうだといえば、別に何がどうということもないのですが…でも、元気になります!!
ありがとうございました!!
折り返し以下で。
下の記事の、連載の続きをしています!
「お断り…します!」
楊令は歯を喰いしばって耐えた。
剣先をしっかと豊美に向けたまま、大地を踏みしめ揺らがない。
「与えられた任務は、“味方の救援”。―――今、貴方こそ助けを必要とされていると、俺には見えます」
「ッ私のことなど―――」
気にしている場合かッ、と。
重ねて訴えようとする童貫の声を、
「俺は、貴方を助ける!」
断固として、楊令は振り払った。
腰を落とし、剣を己の牙として敵に向ける。
「ふ…ん?」
それを見て、豊美も漸く認識を改めたようだった。あくまで引かない楊令に、ちょっと見直したような眼を向ける。
とはいえ、
「…………」
別にそれでも邪魔者を斬り捨て、童貫を引っさらっていく予定に変更を入れる気は全くないらしい。
ただ、童貫の方へと微妙に気配りを向けていたのを、今はともかく全力で楊令に対そうという姿勢になった。
―――烈しい戦場の最中、此処だけ切り離したように、一対一の対決の静寂が立ち込め始める。
「く…!」
いらだったのは、童貫だった。
「楊令! こんなことを、している場合ではない…!」
梁山泊の危機ではないかッ…
そう思う。
敵の手に囚われ、既に戦の遂行能力を奪われている指揮官一人に、他の指揮官がかかずらわっている場合ではないのだ。救出の何のと余計なことを考えている暇などない。
童貫の部隊がまず到着し、続いて秦明の隊が。
更に続々と救援が届くだろうことを思い、現在味方の士気は高く、敵のそれを遥かに凌駕している。それでもまだまだ油断のならない戦況なのだ。
だいたい、多くの兵を倒されればひたすら農村を搾って徴兵すれば良い宋と、梁山泊は違う。補充の余地が少ない梁山泊は、今後のためにも出来る限り犠牲を少なくしなくてはならない。
犠牲を少なくするには、日頃から調練に励むことが第一。
そして、いざ戦場に至った時、優れた指揮官が的確な指揮をすることが欠かせない。
―――だからこそ、楊令が今考えるべきは、如何に犠牲少なく敵に勝利するかであるものを……っ!!
「……っ!!」
童貫は、きつくくちを引き結んだ。
腹を括る。
鋭い視線を、乱戦の様相を呈し始めた戦場へと向けた。
Comment
Trackback
TrackbackURL