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思うこと、少し。
えと、少々唐突ですが。
自分、どうも…少なくとも近代戦以前、重厚なる金属製の鎧兜を纏い、重々しい金属の塊を武器に生身でぶつかり合い殺し合う古代戦の時代、女性の軍人というものについて、あまり必然性を感じていないのだと思います。
もちろん、何らかの特殊な事情のある場合、なるしかなくて軍人になる。
もしくは、明らかな適性がある場合――所謂天分に恵まれ――軍人になる。
それは、ありだと思います。しかし、そうでもなければ、古代戦の時代に敢えて女性が軍人になろうとはしないでしょう、きっと。
なので、――――まあ、此処からが本題みたいなものなのですが、仮に北方水滸伝の童貫元帥が女性だった場合、軍人になろうとは本人、思わないと思うのですよ、ね。
女性だろうと男性だろうと、指揮を執らせてみれば元帥のこと、きっと天才でしょう。
しかし、兵士としての童貫元帥は、男性の場合でもまあ、凡才というか……せいぜい良く言って、たゆまぬ努力ゆえの中級秀才。
それが、女性だとすれば―――
三国の張遼や、遼の耶律休哥、元帥と同じく北方水滸伝の呼延灼たちなどはきっと、女性になっても所謂天才でしょう。兵士としても。能力があるから、だから女ながら兵士―――つまり、軍人になる。
その流れには、納得できるのですが。
しかし、明らかに天与の―――身体面における―――武才に欠けていると思われる童貫元帥、女性ならば、そもそも兵士になろうなんて考えられるでしょうか?
童貫元帥が“軍神”と呼ばれるほどの希代の軍人になり果せたのは、男でありながら“男ではない”躰にされた元帥が、誰よりも自分が“男である”ことを証明しようと、言語に絶する努力を重ねたからこそ。
だから、仮に元帥が“女”である場合、女性として選ぶべき選択肢として一般的でない軍人の道を、敢えて選ばれるでしょうか?
―――選ばないと、自分は思う訳です。そんな必要、ないですし。
が、しかし、その一方で童貫元帥が童貫元帥でありえるのは、元帥が軍人だから、だと思うのですよね! あの天稟の煌めき、淡々と重厚に積み上げられた実戦経験、痛々しいまでの自律性と鍛錬の痕(あと)、何処か偏りのある…“人工”臭のする軍人としての姿―――そして、背後に従う強健剽悍な麾下の部将たち。
これらが、あればこその“童貫元帥”だと!
なので、自分、張遼たちだと想像できる―――や、そもそもこれが変なのでしょうが!―――女性化というか、女体化姿が、童貫元帥の場合、想像しにくいのだと思います。女性になったらそれはもう……元帥ではない、と。さらっと軽やかな話で流すならともかく、他人様の書いた作品で愉しませて頂くならともかく、たぶん真面目に書こうとすると――そもそも、女体化ものを真面目に書こうとするのが誤りかもしれませんが(汗――とても書きにくいかも。
そう、思うのですが。
………「onion plus」のsaki 様の描かれた、女性呉用センセと、女性童貫様の、イラスト一枚。この童貫様とその設定に、心惹かれました。綺麗なひとです、とても。
この童貫様を、書いてみたいと思います。―――“童貫”は“童貫”、その名からイメージするあの絵の“童貫”で、でも、“童貫元帥”とは少し違う。そんな女性の“童貫様”を、書いてみたいな、と。
そんな風に、思いました!
―――前置きが非常に長くなりましたが、折り返し以下より…。
※ 生まれつき女性で、養い親の手元からすぐに後宮に上げられて、以降ずっと後宮で生きてきた童貫様。
※ 叛徒として囚われ、後宮に送り込まれて来た梁山泊の呉用センセ(女)を何くれとなく気遣い、世話した経緯から、呉用センセが救出される際、ともに梁山泊へ。
※ あの「onion plus」のsaki 様の設定とイラストのイメージ、二つともにお借りして、一話を書きました。呉用センセと百合っぽいような姉妹っぽいような感じになるので、それに「後宮百合譚」とつけたのですが。
※ この話の場合の童貫“様”。……何だか、童貫“元帥”と違って、幸せにならない…気がします。梁山泊のなかで仕事を与えられ、着々と他に替えがたい役割を果たすようになったとしても。少なくとも、自分のなかのイメージでは。“戦”を見つけた元帥とは違って、この人は―――、と。
※ あくまで、個人的なイメージですが!
※ えと、それから。この童貫様にずっと恋い焦がれていて、童貫様を追って梁山泊入りするのが畢勝どの。それから、梁山泊に来た童貫様があんまりにも綺麗なので、幼心にも忘れかねて、長じて後も変わらず恋い慕うのが楊令。
※ これもまた、saki 様の設定なのですが。
※ このsaki 様の設定と、「薄倖そうな…」という自分のイメージを、ブレンドさせて改めて話にしました。―――二次創作ならぬ、三次創作の極み、ですね。
※ 北方水滸伝の“童貫元帥”とは、だから違う…かもしれません。とゆか、たぶんちょっとだいぶ別人かも、です(汗。
ややRめ、です。
そんなに過激なシーンではありませんが、生々しいかもしれません。
初めての夜のあと。
目覚めた朝の光景を、童貫は今も覚えている。
他に人の気配もなく、冷たく外気に晒された牀に一人きり。乱れて波紋を描く敷布の上に、昏い赤色が流れていた。
すっかり乾いて強ばった、そのくせ妙に生々しい血の彩り。―――つい数日前、初めて眼にした月のものの穢れと似ていたが、それよりも更に陰鬱な色に見えたのは、気のせいだろうか?
昨夜の激痛の名残を留め、肢体が軋む。
苦痛に呻く手足をなだめなだめ、どうかすると気の遠くなりそうな懈怠感を堪えて何とか起きあがり、窓辺に寄れば、暗澹とした空が眼前で沈んでいた。
どろりと重苦しく立ち込めた黒灰色の雲と淀む風に、湿り気を帯びて濁った錆朱の陽が埋もれている。墨を流したような暁闇に赫々と、皮膚から脳髄までを炙りつける貪婪な熱を予感させながら、苦しく不吉な赤が蔓延っていた。
まるで、褥に残る血の痕のような……
双の眼球を通して、それは打ち消しがたい光景として童貫の裡に焼き付けられた。その一日の終わる前、初めての男の手で己が身から子を産む能力を奪い去られ、肢体を永遠の石に変えられたことも影響しているかもしれないが……。
行為の後始末をする人間が来るまで、眺めていた。
そして脳裏に刻印された光景は、何時も……今も、童貫のなかで眠っている。
時に揺り起こされ、悪夢のように眼を開きつつ―――
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